筋骨格系疼痛に対する間葉系幹細胞培養上清液の治療効果

■原著

筋骨格系疼痛に対する間葉系幹細胞培養上清液の治療効果

三島 雅辰

WAARM Journal, 2018; 1: 31–35

Key words: 間葉系幹細胞培養上清液,筋骨格系,疼痛緩和

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Abstract

Conditioned media from the adipose-derived mesenchymal stem cell cultures contain not only cytokines and growth factors, but also exosomes. Musculoskeletal pain in the 9 patients was treated by conditioned media. Osteoarthritis, arthritis, lumbar degenerative disc disease and meniscus tear was successfully treated by conditioned media. Conditioned media may provide more effective tool as an alternative to pharmacologic treatment for musculoskeletal pain.


はじめに

老化とは感染症にかかりやすく,生理的機能障害 が起きやすく,酸化ストレスなどの多くの環境因子 に影響され易くなり,循環器疾患,組織損傷など の多くの病気のリスクが増加する.また,膝関節 や腰に痛みを生じる筋骨格系疾患により運動機能障 害が起き,平常通りの社会生活が営めなくなること も知られている.そして,これらの多くの疾患に 関して間葉系幹細胞の治療効果が知られている). 筋骨格系疼痛は成人の1/3以上に発症し,原因や 部位が多様であり治癒しにくい.筋骨格系疼痛は急 性,慢性および神経障害性疼痛に分けられている. 筋骨格系疼痛の治療としては通常アセトアミノフェ ン,非ステロイド抗炎症剤 NSAIDsが用いられ, 痛みが強い場合はオピオイドなどの抗炎症,鎮痛 薬を用いている.しかしながら,これらの投薬は疼 痛緩和,消失を促すが副作用が知られている. 間葉系幹細胞の細胞療法は筋骨格系疼痛の鎮痛効 果があることが知られている.これは間葉系幹細胞が多くのサイトカインや増殖因子を傍分泌し, それらのサイトカインに抗炎症効果があるからであ る.変形性関節症において,間葉系幹細胞だ けでなく,その培養上清液にも疼痛緩和が報告され ている. 本報告は膝,腰および肩に疼痛を認める患者9 人,13部位について間葉系幹細胞培養上清液の治 療効果をNRS(Numerical Rating Scale)にて評価し た.その結果,間葉系幹細胞培養上清液が筋骨格系 疼痛を緩和あるいは消失させることを認めたので報 告する.

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