脂肪組織由来間葉系幹細胞治療の実際 ―幹細胞および培養上清液投与―

技術講座

脂肪組織由来間葉系幹細胞治療の実際 ―幹細胞および培養上清液投与―

太田裕貴,香川明美,安藤栞,劉効蘭,佐藤茂、前田美穂

WAARM Journal, 2020; 3: 43–50

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はじめに

サンフィールドクリニックは2011年に開院後、再生医療専門クリニックとして1000例以上の症例を治療してきた。2016年に施行された再生医療等安全性確保法に基づき「動脈硬化症の進展予防を目的とした自己脂肪由来間葉系幹細胞治療」と「慢性疼痛緩和を目的とした自己脂肪由来間葉系幹細胞治療」の届出を行い、それぞれ2016年5月26日と2017年8月28日に承認後これらの治療を行なっている。

どちらの疾患に対しても、基本的には同じ手法で採取・培養・細胞投与を行なっており、安定した医療の提供が行われていると多方面からの評価を得ている。また、筋骨格系疼痛は腰、肩、膝関節など局所的であり、幹細胞培養上清液を疼痛部位のみに投与している。変形性膝関節症では培養上清液は幹細胞投与と同様な効果があることが知られている。その上、上清液には細胞成分が含まれておらず免疫反応が起こる心配がないことから他家の上清液が使用できる利点がある。

当院は、細胞培養加工施設(Cell Processing Center; CPC)を隣接するロート製薬のCPC部門に委託し安心・安全な幹細胞の提供を行っている。

そこで今回我々は、当院における間葉系幹細胞治療の実際を時系列的に紹介するとともにTipsとPitfallsを述べる。

 

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