臨床発毛医学の現状と展望2018

■総説

臨床発毛医学の現状と展望2018

松山 淳

WAARM Journal, 2018; 1: 25–30

Key words: 男性型脱毛症,女性型脱毛症,臨床治療,発毛効果

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要 旨

健康長寿社会が進む現代社会において,アンチエイジングという概念も様々な分野で浸透し,健康長寿は 勿論,近年,「見た目の若さ」も重要な要素となってきている.中でも,薄毛や脱毛は男女共通の悩みとして, 関心を集めている.本稿では脱毛症の基礎,現在の治療法,今後の治療の発展や可能性などについて臨床的 観点から述べたい.


髪の毛の総本数はおよそ10万本で,ヘアサイク ルから考えると1日50~100本くらいは抜けても生 理的範囲内である.この生理的範囲を超えて抜ける と毛髪は薄くなったり,ある部分がまとめて抜けた りして,脱毛症と呼ばれる病態となる. 脱毛症には男性型脱毛症(AGA),女性のびまん 性脱毛症(FAGA),円形脱毛症,粃糠性脱毛症, 脂漏性脱毛症,牽引性脱毛症,瘢痕性脱毛症,分娩 後脱毛,甲状腺疾患など内科的疾患による脱毛症, 薬剤や放射線による脱毛症,トリコチロマニア(抜 毛症),頭部白癬等による脱毛等実に様々なものが ある(図1). 中でも,男性型脱毛症(AGA)と女性型脱毛症 (FAGA),及び円形脱毛症,抗ガン治療後脱毛症は 多くの人を悩ませている近年患者数,治療数ともに 増えつつある疾患といえる.さらに,男性型脱毛症 は原因の解明と診断・治療がある程度確立し,ガイ ドラインも整備され,治療法方法も進んできた脱毛 症であり,まずはこれらを中心に現在の治療と展望について述べてみたい.

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