間葉系幹細胞による治療と抗老化

■総説

間葉系幹細胞による治療と抗老化
佐藤 茂,劉 效蘭

WAARM Journal, 2018; 1: 1–20

Key words: 間葉系幹細胞,特性,臨床応用,抗老化

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Abstract

Mesenchymal stem cells (MSCs) is isolated from many tissue sources and they have been used to treat a wide variety of diseases. The basic clinical characteristic of MSCs depends on their diffretiation towards cells of mainly mesoderumal origin. MSCs in also produce and release cytokines, growth factors and extracellular vesicles. These secreted factors has been involved in immunomodulation, angiogenesis, cell proliferation, anti-apoptosis and neuroprotections. This review aims to describe MSCs properties and clinical applications.


はじめに

抗老化や抗加齢は英語のアンチエイジングantiagingの訳である.中国語では抗老衰としている. 京都大学附属病院の老人内科アンチエイジング外来 は,長生きの為ではなく,ピンピンコロリを目的 としたものである1).また,近年ウエルエージング well agingと云う言葉が使われており,上手に年を 取り健康寿命を延ばし元気に生活することを目的と している2). 老化とは感染症にかかりやすく,生理的機能障害 が起きやすく,酸化ストレスなどの多くの環境因子 に影響され易くなることである3).老化が進むと循環 器疾患,組織損傷などの病気のリスクが増加する4). 脳梗塞や心筋梗塞を含めた循環器障害や腫瘍のよう に死亡率の高いものから関節痛や腰痛のように痛み を生じ運動機能障害が起こる疾患もある.それ以外 にも免疫能の低下による感染症,骨粗鬆症による骨
折など枚挙のいとまがない.そして,その多くの疾患 に関して間葉系幹細胞の治療効果が知られており5–7),
薬としての細胞cell as dragsと評されている6). また,老化あるいは紫外線による光老化した皮膚 のシワや弾力性低下,色素沈着などは美容学の立場 からは重要な課題の一つである.いつまでも若々し くいたいと考えない方はいないと思う.この皮膚老 化に関しても間葉系幹細胞による若返り効果が認め られている8). 抗老化として,種々のサプリメント,ホルモン療 法,食事や運動指導など多くの方法が知れている が,ここでは間葉系幹細胞を用いた種々疾患の治療 および抗老化について解説する

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