メーカーの取り組むべきヒト幹細胞由来培養上清液の製造規格について

技術講座

メーカーの取り組むべきヒト幹細胞由来培養上清液の製造規格について

佐俣 文平

WAARM Journal, 2023; 5: 48–51

Key words:ヒト幹細胞由来培養上清液,エクソソーム,上清液製造規格

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はじめに

 セルプロジャパン株式会社は 2019 年に設立されたバイオベンチャーである.設立当初から再生医療事業及びその周辺事業をターゲットとして様々なプロダクトを開発してきており,ヒト幹細胞由来培養上清液もその一つである.近年,ヒト幹細胞由来培養上清液やエクソソームといったワードを見聞きする機会が増えてきた.このような細胞由来成分には数千種類にも及ぶ成分が豊富に含まれている.また,これら細胞由来成分は出発材料として用いる細胞の種類によってもその中身が異なることが分かってきている.このようなヒト幹細胞由来培養上清液(以下,上清液と言う)を細胞実験や動物試験に供すことで細胞増殖活性や免疫調節作用など多岐に渡る効果が期待でき,現在では臨床応用に向けた準備も進められている.このように将来への期待が膨らむ一方で,生物由来原料である上清液の製造規格設定の難しさも課題として見えてきた.出発材料となる組織には提供者(ドナー)が存在するため,事前の同意書取得やドナースクリーニングの実施,細胞培養時の製造規格や製造後の品質検査規格の設定などを設定する必要がある.このような課題をひとつずつ解決していくことで上清液の安全性・信頼性が高まっていき,将来的には創薬開発などの開発促進につながっていくものと考えられる.そこで今回はメーカー視点で上清液製造規格をどのように設定しているのかを紹介する.

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