技術講座

細胞培養培地を長持ちさせる方法―酸素補給水を用いてー
第２報　酸素補給水によるCHO細胞の増殖、生存率及び抗体産生量の検討

松本高明 ，萩原敏且 ，松本美弥子

WAARM Journal, 2020; 3: 40–42

Key words： 酸素補給水（WOX）、CHO細胞、抗体産生量

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要　旨

弊社が独自の方法で開発した酸素補給水を細胞培養用培地の溶解液に用いCHO細胞（チャイニーズハムスター卵巣細胞）の増殖、生存率および抗体産生への効果を検討した。その結果、対照と比較して良好な成績が得られ、酸素補給水のCHO細胞培養培地における有用性が示された。

はじめに

前報^１）において酸素補給水を細胞培養培地の溶解液として用いCHO細胞^２）の増殖および生存率を検討した結果、培養液の液換えを行わなくても８日間継続して培養できる成績を報告した。

本報告は前報^１）で用いた酸素補給水の性状が安定して使用できるか確認するため、製造日の異なる酸素補給水と対照として２種類の純水を培養液として用い抗体医薬品の製造に有望なCHO細胞^３）の増殖、生存率及び抗体産生量について検討した。

酸素補給水を細胞培養用培地としてCHO細胞の浮遊培養に使用した目的についてはすでに前報^１）で報告した。